イジワル婚約者と花嫁契約
「えっ!?」

「なによ、断るって言っていたのに全然うまくいっているんじゃない」

「ちっ、違いますよ!別にただ食事に行って前に話した“理由”を聞くだけです!」

そうだ。今日彼と会うのは、この前聞きそびれてしまったことを聞くためだ。
なのに千和さんのニヤニヤするばかり。

「だったら別にそんな可愛くオシャレしてこなくてもよかったんじゃない?どうでもいい相手だったら普段着のままでも差支えないと思うけど?」

「……っ!」

千和さんってば痛いところも突いてくる。
自分でも最初はどんな服装でもいいやって思っていた。
だけど、なんか……なぜか分からないけど最終的は、いつもよりオシャレしてきちゃったんだよね。

「今日は定時で上がれそうだし、とりあえず楽しんできたら?会うの二回目なんでしょ?」

「……はい」

そう言うと千和さんは私の肩をポンポンと叩いてくれた。

千和さんには私の気持ちバレているのかもしれない。

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