イジワル婚約者と花嫁契約
喉に詰まりそうになるものの、慌ててごっくんと飲み込むと、ますます健太郎さんの目は細くなる。

「慌てて食い過ぎ。別に誰も灯里の分取らないから」

「別に慌ててなんて……」

「俺も食べよ」

そう言うと健太郎さんも、美味しそうに。そしてどこか嬉しそうに食べ出す。
その姿を横目で見つつ、どんどん握られていく美味しいお寿司を次々と頂いた。

昔からお寿司が大好きでよく食べているけれど、こんなに美味しいお寿司を食べたのは初めてかもしれない。
健太郎さんの言う通り、お気に入りのお店になっちゃったよ。

客は私達しかおらず、貸し切り状態。
話し上手な大将と他愛ない話をしながら、美味しいお寿司に舌鼓しつつ、さきほどの健太郎さんの笑顔が頭から離れない私は、すっかりと話のことを忘れてしまっていた。


「ご馳走様でした。すごく美味しかったです!」

「それは良かった」

ちょっと化粧室に行っている間に、健太郎さんはスマートにお会計を済ませており、奢ってもらってしまった。
値段が店内に表記されていなかったし、けっこう食べちゃったから絶対恐ろしい金額となったはず。
少しでも出すと言ったものの、「灯里は俺に恥をかかせたいの?」と言われてしまい、素直にご馳走になることにした。
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