初恋パレット。~キミとわたしの恋の色~
 
これには、思わず先輩もわたしも絶句する。

正式に美術部に戻らない理由が、まさかわたしとは……。

百井くんの判断基準は、ときにわたしの想像を超えすぎていて、もはや理解不能に等しいんだけど。

けれどどうやら、先輩にはわかるものがあったらしい。


「わお。そっか、そっか。なんか、ナツくんらしいね」

「わかってもらえましたか」

「うん。部に戻らない理由が聞けてスッキリした。もしかして私のせいかもって思ったりもしてたんだけど、いかにもナツくんらしい理由で安心したよ」


そんなフランクな会話を終えると、「じゃあ、私はもう戻るね」と、ひらりとスカートの裾を翻し、廊下の向こうにその姿を小さくしていく。

でも、わからないのは、わたしだ。

美術部に戻ってこいと言われていることも知らなかったし、コンクールに出ようと思えばもう出られることも、実結先輩が口にするまで聞かされていなかった。

自分の絵を評価してもらえるせっかくのチャンスなのに、それをわたしのために断るとか……。


「……百井くんっ」

「ああ、うん。ニナの言いたいことは痛いほどわかる。相談もなしに悪かったよ。でもオレには、ニナ以上のものなんてマジでないんだって。頼む、わかってくれよ……」
 
< 255 / 260 >

この作品をシェア

pagetop