初恋パレット。~キミとわたしの恋の色~
 
こういうところが百井くんはズルいんだよ。

真っ直ぐな眼差し。

わたしだけを見つめる、その強い瞳。

わたしだけに向けられる、その大きな想い。

全部全部、どうしたって〝大好き〟しかない。


「もうわかったよ。百井くんがそう決めたんなら、わたしからはなにも言わない。百井くんは、これからもわたしのために絵を描いて。わたしは、そんな百井くんの写真をこれからも撮り続けるよ。……大好き」


言うと、百井くんが満面の笑みを浮かべる。

それはきっと、実結先輩でさえ見たことのない、わたしだけに向けられる最高の笑顔。


百井くんはこれから、そのパレットにどんな色を並べるだろう。

わたしはこれから、ファインダー越しに見るものにどんな色を乗せるだろう。

どうせだったら、虹色がいい。

雨上がりの空に忽然と現れる、あの美しい七色のように、わたしたちが進んでいく〝これから〟も、いつも虹色に輝いていますようにと。

そう、心から願う。


あの日、偶然わたしの頭に降ってきたスケッチブックは、思いがけず苦しい恋のはじまりだった。

だけど、それがなかったら、今のわたしたちはない。
 
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