ただの幼なじみじゃいられない!
鼻にかかった甘えたような声を出して、爽太にベタベタな様子の彼女。
いや、今そんなことはどうでもいい。
ここから逃げる方法を考えなきゃ…!
やばいやばいやばい、どうしよう、どうしよう。
くるくるとその場で動きながら打開策を考えようとしたけど…無駄だった。
「あっ!!」
つまづいて、ズシャーーッ!!と、あたしは顔面から豪快にコケた。
そのせいで、爽太たちの前に姿を現してしまった…。
コケて登場するなんて、なんて情けないんだろう…。
チーーーン。という鐘の音が、頭の中で再生された…。
…恥ずかしさで、2人の前に顔を上げられない。
「…咲?」