Secret Mission
「…………。」
水樹は固まっていた。端から見たら目を開けたまま気を失っているように見えるかも知れない。
「…おーい?熊野?」
春が水樹の顔の目の前で手を振ってみるが全くと言っていいほど動かない。
春は焦っていた。だが、春よりも焦っていた人物がいる。水樹だ。
―――どうしよう。どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう。
どうしたらいい?脅して一切合切関わらないようにしてもらうか?
―――それより、一回転校とか言ってこの学校やめて、また別の変装して戻ってきたほうがいい?
―――…いや、ダメだ。熊野さんに迷惑がかかる。
―――それより、もしかして、こいつらにも見られたんじゃ…?
「っ………。」
「お、やっと目覚めたか?」
「……千葉春くん。」
水樹の発言に少し疑問を持ちながらも、やっと動いたことに安堵しながら答える。
「…ん?なんだ?」
「……俺がウィッグってことは他言無用です。
もし誰かに言ったら……殺します。」
水樹は睨みつけながら言う。
それに驚きながらも春は頷く。
「っ…!?わ、わかった…。言わない、言わないけど、さ。何で隠してるんだ?」
「…隠してるわけじゃないです。ただ、面倒でしょう?追求とか、されたくないので。」
「なるほど。たしかに面倒だな。でもそれぐらいで殺すって…。」
「それだけじゃないです。今日見た俺の一面のこと、言ったらダメって言ってるんです。」