Secret Mission
水樹の気迫に驚き、春はコクコクと勢い良く頷く。
それを確認した水樹は転がっている4人のそばに行き、しゃがんで笑う。
「…貴方達もですよ?ここであった出来事は忘れてください。
そして、一切合切俺に関わらないでください。」
「っ…わ、わかった!関わらねえし、忘れる!だから許してくれ!」
「許す…?」
「あ、ああ!」
「え、許す訳ないじゃないですか。あ、でも新しいスマホ買ってくれるっていうんでしたら許してあげますよ?」
渡辺は「そんな……。」と、項垂れる。それを一瞥した水樹は立ち上がり、トイレから出て行こうとする。
「熊野。待ってくれ。」
それを、春が呼び止めた。水樹は振り返りもせず立ち止まる。
「お前……もしかして、この前、あのバカが喧嘩ふっかけてたフードの男か?」
「………嫌だなぁ。何言ってるんですか。俺はそんな不良に絡まれるようなことはしませんよ。」
水樹は笑っていうが、目だけは笑っていなかった。
―――…となると、あの集団の一人か……いや、そばにいた誰かか?…俺もこいつの顔には見覚えがある…。
「そうか。…んー話し方とか、声とか、口調とか…似てるところいっぱいあったんだけどな。」
「こんな喋り方する人なんてたくさんいますよ。」
「……そうだよな。呼び止めて悪かった。」
「いえ、お気になさらず。」
水樹はそう言うと今度こそ、トイレからでた。