Secret Mission
ずれたウィッグを直し、服のシワや汚れを落としてから教室に入る。
「っ……す、すみませんでした!」
担任が授業をしていた。どうやら日本史の授業のようだ。
「ああ、水樹か。裕一から聞いてるぞ。腹痛かったんだってな。
もう大丈夫なのか?」
「え……?あ、はい。大丈夫、です。」
「そうか、なら、早く座ってくれ。授業再開するぞ。」
「は、はい!」
水樹は少しばかり戸惑いながらも椅子に座った。
それを確認した先生は授業を始めた。
水樹は何回か学校に忍びこむことがあった為、一通りの授業は受けている。
そのため、授業中が一番退屈な時間だった。
―――…曲を聞こうにも、スマホ壊れたし…音楽プレーヤー忘れてくるんじゃなかった……。
聞こえないくらいの小ささでため息をつき、ノートを開く。
何もしていないのは疑われるので、カリカリと落書きを描いていく。
―――まぁ、不幸中の幸いというか…この暑さのおかげで服が乾いてたのが良かったな。……ちょっと髪が濡れてるけど。
窓際だし、すぐ乾くだろう…そんなことを考えていると、ドアが開いた。
そちらに目を向けると居たのは渡辺、鈴木、内山、新井、そして今回は手を加えてこなかったが黒城がいた。