婚約者はホスト!?①~永遠の愛を君に~
田島となつが到着すると、賢三は二人を引き連れて挨拶まわりに励んだ。
「娘のなつと婚約者の田島です。田島には次の選挙に出馬させるつもりでおります。どうぞ宜しく頼みます」
「田島信吾と申します。どうぞ宜しくお願い致します」
賢三が招待客に紹介すると、田島が前に出て名刺を差し出す。ひたすらこれの繰り返しだった。
「まぁ、お若いのに随分しっかりした方ね。なつさんととてもよくお似合いだわ。ねえ、あなた?」
「本当に。先生も孫の顔が待ち遠しいでしょうな」
こんなやり取りをようやく終えて、私は少し解放された。
「ちょっと抜けます」
なつは田島に声をかけて化粧室へと向かった。
鏡の前に立ち自分の顔を見つめる。
婚約をどんなに祝福されても、鏡に映る自分は少しも幸せな顔などしていない。
圭司に結婚しようと言われた時の、あの満たされた感情も胸が熱くなるようなときめきも、何もないのだ。
このまま結婚なんかして、本当にいいのだろうか?
ここまで来て往生際の悪い自分にも、またひとつため息をついた。