婚約者はホスト!?①~永遠の愛を君に~

化粧室を出てホテルの廊下を歩いていると、右足がヒリヒリと痛み出した。
履き慣れない足袋のせいで、なつの指には擦り傷ができてしまっていた。

「痛い」

なつは近くのソファーに腰かけながら、足袋の上からそっと擦った。

その時だった。
エレベーターに向かって歩く圭司の姿が見えた。
なつは足の痛さも忘れて夢中で追いかけた。 

「圭司!」

なつの声に足を止めた圭司。
けれど、振り返った彼の腕には女性の腕がしっかりと組まれていた。

圭司はなつを見て、大きく目を見開いた。
なつも引き止めたはいいが、上手く言葉が出てこない。

二人は少しの間、無言で見つめ合っていた。

「なつさん、こんな所にいたんですか」

沈黙を破ったのは、なつを呼びに来た田島だった。

田島は圭司をチラリと見ながら、なつの肩に手を回した。

「なつさん。そろそろ戻りましょう。今日の婚約披露パーティーはあなたが主役なんですから」

こうして、なつは強引にパーティー会場へと連れ戻されたのだった。



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