婚約者はホスト!?①~永遠の愛を君に~
タクシーは圭司のマンションの前で止まった。
そこは、今まで圭司が住んでいたアパートからは想像もできないほど、豪華なマンションだった。
あの頃の圭司は病弱なおば様に経済的負担をかけないようにと奨学金で大学に通い、蒸発してしまったおじ様の代わりにバイトを掛け持ちしながら必死に働いていた。
なつは思った。
あの時、自分が圭司の為に何かしていたら、何かが変わっていたのだろうかと。
エレベーターに乗りこむと、圭司は無言のまま最上階のボタンを押した。
「先にシャワー使う?」
寝室に入ると、圭司はジャケットをハンガーにかけてネクタイを緩めた。
ダウンライトに照らされたベッドがヤケに生々しい。
なつはゴクリと唾を飲んだ。
「それとも………すぐにヤりたい?」
圭司がベッドに腰を下ろしながら意地悪く問いかけた。なつは何も言わずに俯いていた。
「ほら、突っ立ってないで早く服ぬげよ。抱いて欲しんだろ?」
冷たい圭司の言葉に、とうとうなつの目から涙がこぼれ落ちた。
「なに泣いてんだよ。泣くほど怖いならもう帰ったら?」
「違うの!」
なつは、泣きながら首をブルブルと横に振った。
「抱かれるのが怖いんじゃない。あの頃だって、ずっと抱いて欲しかったんだから! 私ね……もうすぐ好きでもない相手と結婚させられるの。だから、その前に一度でいいから圭司に抱いてもらいたかっただけなの。でも、こんなお金で無理やりなんて間違ってたよね。ごめんなさい。もう、二度と圭司を困らせたりなんてしないから…こんなことしてごめんなさい」
なつは肩を震えながら泣いた。
ゲホゲホと咳き込むほど激しく。
「なつ………ごめん。ごめんな」
圭司はそんななつを思わず抱きしめていた。
「わ……私は………どんなことされても……圭司が好き。誰のものになった………って………ずっと圭司だけを………愛してるから」
なつの言葉に圭司の目が真っ赤に染まった。
「ごめん………俺の負けだ」
次の瞬間、圭司はゆっくりとなつに唇を重ねた。
それは昔のように甘くて優しいキス。
さっきまでの冷たさはもうどこにもない。
「なつ…抱いてもいいか?」
なつが黙って頷くと、圭司はなつを抱き寄せベッドへと押し倒した。
「なつ」
「あっ」
首筋に圭司が顔を埋めると、なつから甘い声が漏れた。圭司はなつのブラウスのボタンをひとつずつ外して、なつの胸へと手をかけた。
なつの体がピクッと跳ねる。
「優しく抱くから」
圭司は服を脱ぎ捨てて、ゆっくりとなつの中へと入っていった。痛みに耐えるなつを気づかいながら、圭司は少しずつ動く。
「なつ…」
圭司がギュッと抱きしめると、なつは涙を流し意識を手放した。
「なつ。愛してる」
圭司はなつの涙を指で拭いながら、切ない声で呟いたのだった。