婚約者はホスト!?①~永遠の愛を君に~
とその瞬間、凄い早さで圭司がなつを抱き寄せた。
「なつに触んな!」
圭司が拓哉を睨みつけた。
「うっわ~。響さんってばキャラに似合わず実はこんなに嫉妬深かったんですね~」
ニヤリと笑いながら拓哉がからかうように言うと、圭司はムッとした表情でなつの手を掴んだ。
「なつ。タクシーで帰るぞ」
「ちょ、ちょっと待って下さいよ~。せっかく迎えに来た俺はどうなるんですか! 響さ~ん」
慌てて拓哉が追いかける。
「うるせえよ! 病室でギャーギャー喚くんじゃねえ」
「あっ、そんなこと言うならなっちゃんにバラしちゃいますよ~? 響さんが客を口説く時に使うさっむいセリフ」
「テメエ、ぶっ殺す!」
と、こんな子供のような二人の喧嘩は、車の中まで続いたのだった。
☆☆☆
「拓哉。おまえ、いつまでひとん家に居すわる気だよ。酒だって飲んでねえんだから早く帰れよ」
圭司はソファーに横たわる拓哉を見て、ウンザリした顔で言った。
「だって、なっちゃんのおいしい手料理ご馳走になったら眠くなっちゃたんですもん」
「そんな、おいしい手料理だなんて。ただの鍋なのに…」
キッチンからなつが恥ずかしそうにそう言った。
「俺には立派な手料理だよ。なっちゃんが作った鍋は人生で一番おいしかった。なんでかな? 俺がなっちゃんを愛してるからかな」
「いい加減にしろ!」
パコンと拓哉の頭を圭司が思いきり叩いた。
「イッテ~。いいじゃないですか。そんな目くじらたてなくたって。別に響さんからなっちゃんを奪おうなんて考えてませんよ。それに到底俺なんかじゃ敵いませんからね。愛する女を救う為にヤクザ相手にしちゃうような響さんには」
頭を擦りながら拓哉がソファーから身を起こす。
「いいから早く帰れって」
「はいはい。分かりましたよ」
拓哉はようやく重い腰を上げて、ソファーから立ち上がった。