婚約者はホスト!?①~永遠の愛を君に~

「あちらのテーブルのお客様が、響さんのこと指名したいそうなんですけど」

「は? 俺、客だよ? 行くわけないだろ」

圭司が呆れたように言うと、ボーイは『スミマセン』と頭を下げて去って行った。

「さすが響さんですね。あ~もう、響さんのせいで、主役の俺が霞んじゃうじゃないですか~」

ガックリと肩を落とす拓哉さんが、ちょっと気の毒になる。

「そういえば支配人から聞きました? 響さんに会わせろって店で大騒ぎした客の話」

拓哉さんがそんな話を切り出すと、圭司は慌てて話題を逸らした。

「それより、おまえ。今日の売り上げどうなんだよ? No.1がかかってるんだろ?」

「ああ、それが……。声かけた子は皆な来てくれてるんですけどね。思ったほど売り上げに結びつかないというか」

「もっと客に張り合わせたら? わざと目の前でいちゃつくとかさ」

「そんなことしたら怒って帰っちゃいますよ」

「バカだな。そこを上手くやるんだよ。妬かせた客には目で訴えかけろ。高い酒入れられて仕方なくサービスしてるけど、ほんとは早くそっちに戻りたい…って。ドンペリの1本や2本、軽くいけるから」

「いやいや、それは響さんだから許されたことで」

「そんなことないだろ。いいか?」

私を挟んで圭司のレクチャーが始まった。

ホストの顔に戻った圭司を見て、とても複雑な気持ちになる。

客の肩を抱き、キスをしていた光景が嫌でも浮かんできてしまう。

何だかやってられない。
私は目の前のカクテルを一気に流しこんだ。


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