婚約者はホスト!?①~永遠の愛を君に~
圭司ははあーとため息をつき渋々口にする。
「3分だけだぞ。それでダメなら諦めろ」
「ありがとうございます」
拓哉さんが再び私の肩を抱くと、圭司はシャンパングラスを手にしながら、私と拓哉さんからスッと顔を逸らした。
そして、2分が経過した。
女性客は拓哉さんを気にしてる素振りは見せるものの、一向に動きがない。
「あれ、おかしいな。なっちゃん、ごめん。もう少しくっついてもいい?」
拓哉さんが耳元で呟いた。
「あっ…うん」
その直後、グイッと抱き寄せられ、首筋にキスされた。
「いやっ」
思わず身をすくめた瞬間、圭司が持っていたシャンパングラスをテーブルに叩きつけた。
グラスはパリンと割れて圭司の手が真っ赤に染まった。
ボーイが慌てて駆け寄ってきた。
幸い傷は浅かったようで圭司はタオルだけ受け取り右手に巻いた。
そして、あたふたする私の肩を左手で抱き寄せた。
「拓哉。時間切れ。あとは自分で何とかしろよ」
圭司からそんな言葉をかけられた拓哉さんは動揺しながら頭を下げた。
「す、すいません…響さん。ちょっとやりすぎました……俺」
黙ったままの圭司。
緊迫した空気が漂う中、再びボーイが私達のテーブルへとやって来た。
「失礼します。拓哉さん。2番テーブルと3番テーブルのお客様からドンペリピンク2本ずつ入りました!」
「えっ!?」
拓哉さんが目を丸くする。
「なっちゃん、響さん! ありがとうございまました!」
嬉しそうに頭を下げる拓哉さん。
「頑張ってね」
ふて腐れている圭司の代わりに声をかけると、拓哉さんは笑顔で去って行った。