太陽に恋をして
帰り道も、柳原さんと私は手を繋いだまま歩いた。


柳原さんは人混みから私を守るように歩いてくれる。

すぐに私を置いてどっかに行っちゃう唯月とは大違いだ。


柳原さんが予約をしてくれていたのは、大通りと公園を見下ろせるビルの最上階にあるオイスターバーだった。
さっき見上げていたイルミネーションを今度は見下ろしながら、私たちはワインを飲んだ。


店の真ん中には大きなグランドピアノがあって、深紅のドレスを着た女の人が、有名な白雪姫の挿入歌「いつか王子さまが」を弾いていた。





「遅くなったから、うちまで送るよ」


柳原さんと駅のロータリーでタクシーを待っていると、少し離れた場所から女子高生たちが柳原さんを見て頬を染めながら何か話している。


本人たちはこっそり見ているつもりなんだろうけど、あまりに露骨すぎて居たたまれなくなる。


「イルミネーション明日で終わりだし、見れてよかった」


柳原さんは慣れているのか、至ってのんびりとそんなことを言った。


「え?あれ明日までなんですか?」


「うん、二月末までって雑誌に載ってた」


そうか。
明日までなのか。

唯月ともう一度見たかったな。
唯月にも見せたかったな。
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