ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人
はじめての更正
ママからの一通のハガキが来たのは、あの暴露会から5ヶ月後の事だ。


旦那さんは北海道の生まれだったらしい。


旅の最後は北海道で地元の人に畑を借り、その場所で静かに亡くなったらしい。

ママも北海道が気に入ったらしく当分は向こうに住むとの事だ。


真夏の日差しに嫌気がさしていた時のこの報告に、何故か涼しい気持ちになっている…

北海道の匂いを感じるハガキだ。



ぼくは変わらず出前の金融をやっている。

…ただ、金利は法定金利ギリギリまで下げた。


その分儲けも薄いが少しずつ堅気な商売に近づきつつある。
しかし未だに無許可な営業だし追い込みの仕方はあまり変わらない。



キッチンには友美がそうめんを作りに来てくれている。


2人きりになるのはイヤだったので野口を呼んであり、目の前でビールを飲んでいる。


『そうすか…北海道で…どんな気持ちなんすかねぇ…段々弱って行く人と過ごすのは』


『ん~…元々癌の事を聞いたのは1年以上前だったらしいよ、俺、ママ知らねぇと思っててよ…どうすればいいのかって、しかも弥生も知ってたって言うんだよ』


『ぶん太さんは弥生さんには言えないって言ってましたよね』

『うん…』
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