不順な恋の始め方
「え? いやいや、こんなラフな格好でこんな可愛ええお嬢さんの横、よう歩かんで」
「な……あ、の……そういうことじゃなくて……!」
「え? じゃあ何やの」
「だ、からっ……! そのままでも十分格好良いですし、これ以上格好良くなられたら……わ、私がっ」
私が、困るんです。
小さく、小さく、そう言った私の声は譲に届いたのだろうか。
届いていないでほしいと願う反面、それが届けば譲はこのままの格好で居てくれるはずだから届いていれば良いとも思う。
まあ、どちらにしろこれは本音だから何とか譲がこのままの格好で居てくれることを願っている。
「……分かった。柚希がそこまで言うならコレで行くわ。うん」
「ほ、本当ですか……!」
譲は「うん」と頷くと、玄関へと歩き出す。
そして玄関で立ち止まり、靴でも履くのかと思いきや、何故か後ろに立っていた私の方を振り返った