不順な恋の始め方
私と譲は順に車に乗り込み、車は「ほな、行こか」という譲の言葉を合図に走り出す。
車が走り出して間もなく、隣で真っ直ぐ前を向いたまま運転をしている譲が、何やらわざとらしく私の名を呼んだ
「柚希さん」
「はい、譲さん」
私もわざとらしく〝さん〟付けで呼び返すと、譲の口角がくっと上がった
「はは、なんか新鮮やなあ、コレ。新婚さんみたいや」
「ふふ、そうですね」
「なーんか、幸せな家庭になる予感しかせえへんなあ、俺ら。夫婦喧嘩とかするんやろか」
「夫婦喧嘩しても、きっと、ちゃんと仲直りしますよ。」
そうですよね? と譲の横顔に問いかけると譲はまた口角を上げてはははと笑う
「せやな、よう分かってらっしゃる。ちゃんとこの間みたいに話し合って、仲直りして、うまくやってこな」
「はい!」
元気よく返事をした私の口角は、譲と同じくらい…いや、もしくは譲よりも高く上がっていく
おまけに「ふふ」なんて声まで出てしまう始末で。さぞかし気持ちの悪いことだ。