不順な恋の始め方
そうは分かっていても、ちゃんと私の身長は160あるんだと譲に分かってほしいが為に折れることのできない私。
そんな私の意地を知ってか知らずか、譲はケケケと笑って口を開いた。
「ははは、うん。分かった分かった。
まあ、分かったけど、限りなく150代に近い160センチって感じやなあ」
「なっ……!」
「だって、ちゃんとした数字聞かな155センチとかに見えんで?柚希」
「う……そ、そんなあ」
155センチは言い過ぎだろう、と思わなくはなかったけれど、確かに言わなければ160センチに見られることは無いのは紛れもない事実。
譲の意地悪に若干凹んだ私は眉間に皺を寄せて黙り込んだ。
そんな私の様子を運転中の譲がチラチラと伺ってくるのが分かるけれど、私は敢えて何も言わないし、顔も上げなかった。
すると
「柚希? もしかして泣いてしもうた?」
「ごめん、ちょっとイジリすぎた」
「ちゃうねん。柚希、そういうつもりで言うたんちゃうねん。」
「侮辱とかそういうつもりやのうてやなあ……ちっこいの可愛ええやんか!俺はそのくらいの背の方が」
なんて、私の慰めとフォローを全力で始めたものだから私は笑いを堪えるのに必死だ。