不順な恋の始め方
私は顔を俯けたままで、運転中の譲が前方とこちらを順に気にしながら私のフォローをしているのをしばらく聞いていた。
必死に「ごめん」と謝る譲には申し訳ないけれど、いつもイジられているのだからこのくらいは許して欲しいな、なんて。
「……柚希……?」
しかし、そんな軽い気持ちで譲のフォローを無視していたはずの私の乗っている車は気がつけば停車していた。
そして、譲の顔は俯く私の顔を覗き込むようにして目の前にあったのだ。
「あっ…」
「え? あれ? 泣いてへん……」
あまりにも間近で譲とバチリと目が合い、私はつい声を出してしまう。
譲は譲で、本当に泣いていたと思っていたらしく私が泣いていないことに1番に反応した。
「ご…めんなさい。いつもイジられてるから、つい……」
「え?」
「譲の必死にフォローしてくれるところも面白くて……だから、ちょっと無視…してました」
ごめんなさい、ともう一度謝ると譲は覗かせていた顔を定位置へと戻し「はあぁ〜」と大きく体を伸ばした。