不順な恋の始め方



「────ほい、着いたで」

「ありがとうございます」


初めてのデートとやらを終え、マンションの前まで帰ってきた私達。

譲が先に降りて私の方のドアを開けたので、私はお礼の言葉と少し頭を下げて車から降りる。


時刻は、午後6時過ぎ。


ここまでは、いつもと変わらない日常だったのに。エレベーターを使って5階まで上がり廊下へ出ると、なんの前兆も無しに嵐はやって来たのだ




「……あれ? 家の前に誰か……」

「ん? あれ、ほんまや。」



私達の住む502号室の真ん前に、1人の女の子がしゃがみ込んでいた。

私達の視線に気がついたのか、女の子はこちらへと顔を向けると、何故かパアッと表情を明るくして物凄い勢いで近づいてきた


もちろん。それは私ではなく、譲、に。



「ゆずにぃ〜〜!!」

「うわっ…と、え!? 仁菜(にな)?」



譲の事を〝ゆずにい〟と呼んだ女の子は、勢いよく譲に飛びかかり、譲の背中へと腕を回し密着している。

< 144 / 195 >

この作品をシェア

pagetop