不順な恋の始め方
ちょっと近すぎでは? と思わずにはいられないが、譲を〝ゆずにい〟と呼んだところから考えるとこの子は恐らく……
「妹さん……ですか?」
「え? あ、ああ、うん。せやねんけど……ちょっ、仁菜。どないしたん、なんでこんなとこおんの」
譲は、自分に抱きついているロングで黒い髪の女の子……妹さんに問いかける。
すると、ゆっくり顔を上げた妹さんは
「だって、ゆずにい全然帰ってけえへんやん。せやから美羽(みわ)ねえと一緒に東京きてん」
そう言ってニシシと笑う。
ここで出てきた新しい〝美羽ねえ〟という名前と〝一緒に〟という言葉が引っかかった。
それはどうやら譲も同じだったらしく「え?アイツもこっち来とんの?」と目を見開いていた。
「うん!せやで!だって、美羽ねえの車で来てんもん!」
「え? なんで? いやいや、俺、全然聞いとらんねんけど」
「だって言うてへんもーん」
譲の妹こと、仁菜ちゃんは口を大きく開いて無邪気に笑ったあと、不審そうな目を私へと向けた。