嘘つきなポーカー 2


「なんか作ろうかなって思ってたんだけど…おかゆとか…。」

「……。」

「要らなかった?」

「…キッチン適当に使って。」


薫はそう呟いた。

由佳はそれがOKの合図だと分かり、言われるがままキッチンに向かう。

何だか今日の薫は一段と冷たい気がした。

松本先生は喜ぶと言ってくれたが、薫は全く喜んでいる様子がない。
むしろいつもより不機嫌な気がして、由佳の胸が痛んだ。


キッチンは、あまり使われた形跡が無かった。

食器や調理器具などは一応揃えてはあるが、全てピカピカでほとんど使われていないようだった。


あいつ、いつもご飯どうしてんだろ――…。


由佳はそんなことを思いながら、おかゆを作る。

薫に関する謎がたくさん湧いてきて、由佳は少し寂しい気分になった。
考えてみれば、由佳は薫のことを何も知らない気がした。


そう言えば、小野寺薫は自分のこと話さないよな――…。


由佳はそう思った。

< 39 / 93 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop