嘘つきなポーカー 2
「なんか作ろうかなって思ってたんだけど…おかゆとか…。」
「……。」
「要らなかった?」
「…キッチン適当に使って。」
薫はそう呟いた。
由佳はそれがOKの合図だと分かり、言われるがままキッチンに向かう。
何だか今日の薫は一段と冷たい気がした。
松本先生は喜ぶと言ってくれたが、薫は全く喜んでいる様子がない。
むしろいつもより不機嫌な気がして、由佳の胸が痛んだ。
キッチンは、あまり使われた形跡が無かった。
食器や調理器具などは一応揃えてはあるが、全てピカピカでほとんど使われていないようだった。
あいつ、いつもご飯どうしてんだろ――…。
由佳はそんなことを思いながら、おかゆを作る。
薫に関する謎がたくさん湧いてきて、由佳は少し寂しい気分になった。
考えてみれば、由佳は薫のことを何も知らない気がした。
そう言えば、小野寺薫は自分のこと話さないよな――…。
由佳はそう思った。