嘘つきなポーカー 2
由佳はそんな薫に違和感を感じた。
さっきまであんなに冷たかったと思えば、今は由佳を真っ直ぐ見つめて押し倒したまま離さない。
そして、由佳に自分のことが好きだと言えと言うのだ。
「…全然分かんない。」
「……何?」
由佳が呟いた言葉に、薫は眉をひそめる。
「理解出来ないの、小野寺薫のこと。」
「あ?」
「ムカついてるって言うけど、小野寺薫は私が桐島にチョコ渡した時も気にしてなさそうだったじゃん。」
「……。」
「それだけじゃないよ。小野寺薫は最近私に冷たかった気がするの、気のせい?」
由佳の声が震える。
「私たちって両思いで良かったよね?でも両思いだって分かったあの日以来、私たちの間にどこか距離があるような気がする。」
「……。」
「確かに隣には居たけれど、だけど小野寺薫がどこか遠かった。」
「……。」
「小野寺薫のことが好きなたくさんの女の子と私の立ち位置が、何も変わらないような気がして――…」
由佳の目から涙が零れた。
その瞬間、心のダムが決壊したように、由佳の溜め込んでいたものが全て溢れ出した。