嘘つきなポーカー 2
「ある程度距離を置かないと俺何するか分かんねぇし…」
薫の言葉に、由佳は言葉が出てこなかった。
「……そんなこと、思ってたの?」
「…あぁ。大切にしたいんだ、お前のこと。」
「小野寺薫……」
「お前にこれ以上近付けば、俺はどうにかなっちまいそうだ。今現在も、この場でお前をめちゃくちゃにしてやりたい自分と闘ってる。」
薫の言葉に、由佳の心臓が飛び跳ねた。
冷静になって考えてみれば、今この体勢はとても危険だ。
何故ならば、上半身裸の薫が、由佳をベッドに押し倒しているのだ。
しかも部屋には2人しか居ない。
「……小野寺薫の、好きなようにしていいよ?」
由佳は薫の目を見つめながらそう言った。
「だって私は、小野寺薫のものでしょ?」
「……。」
「私、小野寺薫に好きにされるなら本望かなぁ。…なんて。」
由佳がそう言って照れくさそうに笑ったその瞬間、薫は由佳の唇を思い切り塞いだ。
「んっ……」
いつもの優しいキスとは全く違う、経験したこともないような激しいキスに、由佳の身体が熱を帯びる。
「んっ…おのでらかお…んんっ…」
薫は容赦なく何度も由佳の唇を塞ぐ。
そして由佳の口の中に薫の舌が侵入し、由佳の舌と絡みつく。
時たま由佳の目に入る薫の表情が、まるで美しい野獣のようで、由佳の心臓はどうにかなってしまいそうだった。