嘘つきなポーカー 2
薫は由佳に深いキスを落としながら、由佳の制服のブラウスのボタンに手を伸ばした。
そしてそのボタンを1つ1つゆっくりと外していく。
由佳の心臓の鼓動の激しさが最高潮に達した。
きっとこのまま、由佳の初めてが薫のものになる。
だが不思議と不安は感じなかった。
それどころか由佳は、喜びさえ感じた。
大好きな相手と、今1つになるのだから――…。
だがその時、薫は由佳のブラウスのボタンを外す手を止めた。
由佳が不思議そうな顔をして薫を見つめる。
「…やめた。」
薫は呟いた。
「…え?」
「今日はダメだ。」
「…私、怖くないよ?」
「それでもダメだ。」
薫はそう言うと、由佳の上から離れて、ベッドの上に座った。
「私は大丈夫なのに、どうして?」
薫との愛を確かめたかった由佳は、納得がいかないような表情で尋ねた。
すると薫はゆっくりと首を横に振り、小さく呟いた。
「……違う、俺が怖いんだ。」
そう呟いた薫の瞳は、どこか寂しそうだった。