嘘つきなポーカー 2
「怖いって…?」
由佳は尋ねる。
すると薫は現実に引き戻されたようにいつも通りの表情に戻った。
「…いや、特に深い意味はない。ただ、女の扱いに慣れてないから怖いって意味だ。」
薫はそう言ったが、由佳はそれが薫の本心ではないと分かっていた。
さっきの寂しそうな薫の表情が、全てを物語っていた。
由佳はとても複雑な気持ちになった。
やっぱり薫の考えていることはよく分からない。
薫のそばに居るようになってから、薫はいつもこうだ。
薫はおそらく何かを隠している。
そして、決してその領域に由佳を踏み込ませないのだ。
「……ねぇ小野寺薫。私は小野寺薫に聞きたいことがたくさんあるよ。」
由佳はそう呟いて薫を見た。
「もっと知りたいよ、小野寺薫のこと。」
「……。」
「何も知らないなんて、寂しいよ。」
薫は黙ったままベッドの上に腰掛けている。
「小野寺薫の行動がよく分からない。…でも分からなくしている理由が何かあるんでしょ?」
「……。」
「思えば、 小野寺薫はいつも自分のこと話さないよね。」
「……。」
「前から思ってた。小野寺薫はどうして1人でアメリカから日本に来てるのか、どうして不良グループなんかに入ったのか…」
「……。」