嘘つきなポーカー 2


次の日、由佳は重い気持ちで玄関の扉を開けた。
そんな由佳の目に飛び込んだ見慣れた人物の姿を見て、一瞬由佳は自分の目を疑った。


「おっす。」


いつもと変わらぬ表情でそう言う薫を見て、由佳は呆然とした。


「え…何してるの……」

「は?何してるのって…いつも通り迎えに来たんだけど。」


当たり前のようにそう言う薫に、由佳はポカンとする。


昨夜、由佳はもう薫に嫌われてしまったと思い、泣き明かした。

華代や奈津子になんて説明しようか、これからどんな顔で薫と接していけば良いのか、由佳は一晩中考えていたのだ。

そして今日は1人で登校するものだとばかり思っていた。


だが薫は何も気にしていないような顔で、いつも通り由佳の家の前に立っている。

予想外の展開に、由佳は頭が追いついて来なかった。


「お前、なんか今日目腫れてね?」


薫がそう言って由佳の目を覗き込むので、由佳はすかさず顔を横に逸らした。


「き、昨日の夜泣ける映画見てたの!」


自分でも苦しい言い訳だと思いながらも由佳がそう言うと、薫は由佳の頭をポンポンと叩いた。


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