嘘つきなポーカー 2
「だけど…それでも小野寺薫の心の中に入り込みたいと思ってしまうんです。可笑しいですよね。」
「由佳ちゃん…」
「私、自分が思っていた以上に小野寺薫のことが好きみたいです。」
そう言って由佳は困ったように笑った。
「先生の話を聞いて思ったんです。小野寺薫が自分のことをどう思っていようがもう気にしないって。」
「……?」
「私はいつも小野寺薫は本当に私のことが好きなのかとか、嫌われていないかとか、そんなことばっかり考えていました。…だけど先生の話を聞いてそんなことはどうでも良くなりました。」
「それはどうして…?」
「私、小野寺薫のことを救ってあげたいんです。小野寺薫が何かを1人で抱えて苦しんでいるなら、私もその痛みを分かってあげたい。」
「由佳ちゃん…」
「小野寺薫にはたくさん救ってもらいました。今こうやって幸せを感じられるのも、全部小野寺薫のおかげなんです。」
「……。」
「だから次は私が小野寺薫を救ってあげようと思って。」
由佳はそう言って笑った。
「だけど…そう簡単じゃないと思うよ。君がまた傷付くことになるかもしれない。それでもいいの?」
松本先生の言葉に、由佳は答えた。
「はい、いいんです。どれだけ時間がかかっても、どれだけ傷付いても。小野寺薫が心を開いてくれるまで、いくらでも待ちますから。」
由佳は真っ直ぐな瞳でそう言った。