嘘つきなポーカー 2
教室に戻った由佳は、奈津子と和也と戯れている薫のもとに歩み寄ると、足を止めた。
「小野寺薫!今度の日曜日、デートしない!?」
由佳はそう言って薫を見た。
薫は突然のデートのお誘いに、ポカンと口を開いている。
無理もない。
今まであれだけ奥手だった由佳が、突然積極的になったのだから。
「由佳、何か変なもんでも食べた?」
「おいおい、どういう風の吹き回しだ?」
奈津子と和也も、突然の由佳の態度の豹変ぶりに驚いたようで、心配そうにそう尋ねる。
「別に、特に深い意味はないよ…」
由佳は目を逸らしながらそう呟いた。
だが由佳にはちゃんとした思惑があった。
薫の心を開くためには、いきなりダイレクトに踏み込むのではなく、少しずつ距離を縮めていくのがベストだと由佳は考えたのだ。
それに何より、由佳は薫に楽しいと感じて欲しかった。
薫が幸せだと思える時間を、作りたかったのだ。
「別に、俺はいいけど。」
薫がそう言ったのを聞いて、由佳は心の中でガッツポーズをした。
「じゃ、今度の日曜日予定空けといてね!」
由佳はそう言って笑った。