王様とうさぎさん
「なに言ってんの。
 あんたたち、もう公認のカップルよ。

 部長に、天野さんは結婚したら、仕事はどうするのかねって訊かれたよ。

 お寺に嫁に入るんなら、今まで通り続けるのは難しいだろうって」

「なんで部長まで知ってんのーっ」

 だから、社食であんな会話してるからじゃん、と潮は言う。

「これはもう、結婚寸前で、みんなにバレでもいい状態なんだなって、みんな思ったわけよ」

「よ……よくないよくない」
と機械のように手を振り、繰り返す。

「卯崎さん、なんにも考えてないだけだって」

「でも、あの人、最初からあんたと結婚するって、なんか強固に思い込んでんじゃん。

 あれ、あんないい男じゃなかったら、ヤバイ人だよね〜」

 ははははーと潮は豪快に笑い飛ばしてくれる。

「あんたの眼鏡姿はさ。
 そりゃ、普段よりは随分落ちるけど。

 卯崎さんが可愛いって言ったのは本当だよ、きっと」

 ほら、恋は盲目って言うじゃない、と言う潮に、私の眼鏡姿、どんだけひどいんだ、と思った。

「付き合い始めなんて、なんでも可愛く見えるもんだから。

 でも、愛が薄れた頃には、見慣れてるから大丈夫」

「もう……一生、眼鏡かけないよ。

 見えなくても頑張って過ごすよ。

 道で会って、潮の顔が見えなくて、無視しても気にしないでね」
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