王様とうさぎさん
「なに自分で話振っておいて傷ついてんのよ。

 私も傷ついたわよ。
 今、独り身なのに、のろけてんじゃないわよ」

 ぺしりと、頭のてっぺんをはたかれる。

「のろけてないわよ」

「そんな風にしか聞こえないわよ。

 今度、柏木くんでいいから、呑み会に連れてきてよ」

 真人、ついに、『でいいから』とか言われちゃってるよ、と思っていると、

「ほら、いつまでヤンキー座りしてんのよ。

 始業時間過ぎてるよ」
と潮はポーチを手に、またはたく。

 はーい、と先に出ていった潮の後をついて行こうとして、ふと、振り向いてみた。

 やはり、後ろに何か居る気がしたからだ。

 だが、そこには、誰も居ないロッカーがあるだけだった。
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