王様とうさぎさん
「結婚したら、すぐにこっちに住みたいらしいぞ」

「いまどき珍しい若い人じゃ」

 話が暴走している……。

「二年でも、三年でも、他所で好きに暮らせと言ってるだろうが。

 子どもが小さいうちは手もかかるだろうし」

 子どもの話まで出されて、くらりと来た。

 もうこの人たちの中では、結婚は確定らしい、と思って。

「十年は大丈夫だよ」
と允の父、太郎が言った。

「まだまだみんな元気だし」

「そ、そうですか。
 ありがとうございます」

 正直言って、允の両親にはかなり好感を抱いていた。

 いっそ、このまま嫁ぎたい気分だ。

 だが、別に允と付き合っているわけではないし、外野がうるさすぎる。

 そのとき、老人の一人が言った。

「しかし、嫁に来る前に、及川さん」

「ああ、あれがあったな」
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