王様とうさぎさん




 莉王が寝ている、忍命名『先祖の間』に允は居た。

 仏壇の前に座る背中がなんだか丸くなっている。

 先程、由莉子の言っていたことがよくわかった。

 なんかこう、ぎゅーっとしたくなる。

『でも、駄目よ』
と言う由莉子の声が聞こえた気がしたが、これは自分の息子だから、いいのだろう。

「う……允さん」
と呼びかけると、返事はないかと思ったが、振り返らないまま、

「一度、呼び間違えるのやめろ」
と言ってくる。

「嫌々呼ばれてる気がする」
と允は言うが、そうではない。

 莉王は側に行き、言った。

「そうじゃないの。
 私、卯崎さんって名前が好きなの。

 だって、可愛いから」
と言うと、允が振り返る。
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