王様とうさぎさん
「そうね。
 そのために、私を利用しようとしたんだもんね」
と言うと、いやっ、それは違う、と言い出す。

「いいのよ、別に。
 でも、允さんは真面目ね。

 うちのお父さんなんて、法事に行っては呑み食らってるだけに見えるけど。

 ねえ、允さんは気づいてたの?

 うちの実家がお寺だって」

「それは知らなかったが、躾がちゃんとしてある感じで、所作も綺麗だったから、きちんとした家の子どもなんだろうとは思っていた。

 だから、うちに入っても困ることもないだろうと」

 莉王は溜息をつき、
「うち、お母さんが結構大変そうにしてるからさ。
 お寺に嫁ぐのは、やだなあって思ってたのよ」
と言うと、聞いていたらしい由莉子が毛布を手に現れて言う。

「なに言ってるの、莉王ちゃん。
 慣れたところだから、簡単でしょう。

 いきなり、神社や教会に嫁いでご覧なさいよ。
 また一からなにもかも覚え直しよ」

 いや、あの、宗教団体以外に嫁ぐという選択肢はないんですかね、私には、と思いながら、莉王はそれを聞いていた。
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