王様とうさぎさん
「いや、なんか恥ずかしいのと、もったいないのとで」

 昨日、お義母さんたちに見せたら、まあ、可愛い、と自分のことのように喜んでくれたが。

「なにが恥ずかしい」
と允は機嫌が悪くなる。

「『だって、なにそれ。
 どうしたの?』
とかいろいろ訊かれそうじゃないですか」

「結婚するって言えばいいだろ。
 ……まだ迷ってるのか」
と問われ、

「猛烈な勢いで流されてってるので、迷う暇もないです」
と答えた。

「そもそも——」
と言いかけ、允は言葉を止める。

「そもそもなんですか?」

「……そもそも、お前は俺のことを」

 そこでまた、言葉を止めた。

 先を読んで答える。

「好きかどうかはわかりませんって言わなかったですか?

 でも、嫌いじゃないです」

 なにされても、そう厭ではないし。
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