王様とうさぎさん
 山道なので、後続車は居ないが、突然だったので、驚いた。

「どうしたんですか?」
と訊くと、允はこちらに向き直り、

「いや、一度、お前にはっきり言っておこうと思って」
と言い出す。

 な、なにをですか、と身構える。

 出会って二週間で結婚させられること以上に、なにか恐ろしいことが待っていそうな気がして。

 すると、允は言った。

「忍に結婚の話をしたとき、訊かれたんだ。

 最初は打算で付き合い始めたのに、いつ好きになったのかって」

 打算ってな。

 まあ、そうなんだろうけど、はっきり言われると、ちょっと堪えるなと思っていた。

「俺が最初にお前を可愛いなと思ったのは——」

 そこで允は言葉を止める。

 シートベルトを外すと、身を乗り出して口づけてきた。

 少し離れて囁く。

「今日はやらないのか?」
と。
< 446 / 508 >

この作品をシェア

pagetop