王様とうさぎさん
 


「お義母さん、今日はお手伝いしますねっ」

 土曜日の朝、莉王は由莉子に言った。

 この一週間、お世話になりっ放しでなにも出来なかったことが気になっていたのだ。

 だが、由莉子は、
「あら、いいのよ。
 だって、たまのお休みじゃないの。

 それに、独身最後の休みよ。

 お手伝いなら、これから長い人生、幾らでもしてもらえるんだから」
と言う。

 不思議な感じがした。

 家族とは違う。

 この間出会ったばかりの允や由莉子たちと、これから先の人生、誰より長く共に過ごして行くだろうことが。

「そんなことより、今日は衣装とカツラ合わせに行ってね。

 まあ、いまどきは和装でも、カツラじゃないことも多いらしいし。

 スタンダードなのじゃなくていいわよ。

 私もいろいろやってみたかったのに、出来なかったから」
と言う由莉子に、新聞を読んでいた太郎が、ええっ? という顔をしていた。
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