王様とうさぎさん
 莫迦なカップルだと思われたかな、と思っていると、彼は自分の手を握ってくる。

「すみません。
 うちもお願いします」
と切実な様子で訴えてきた。

「悪魔祓いをしてくれとか言い出す信者さんが居るんですよ」

 日本に悪魔は居ません、と言う。

 はは……と笑いながら、何処でも一緒だな、と思って聞いていた。

「あの、……うちの妻は」

 妻とか言うと、少し照れるのだが、敢えて、そう言ってみた。

「悪魔は祓えません。

 霊とも会話するばかりで、祓えはしません」

「会話ですか。
 説得ですか?」

「いえ、世間話というか」

 今までのところ、莉王はどの霊と遭遇しても、及川たちと話すのと変わらないように、会話している。

「そうですか。
 それは良い奥さんですね」
と城ヶ崎は爽やかに笑って見せた。

「あの……すみませんが、手を離してくれませんか?」

 城ヶ崎はまだ手を握ったまま、微笑んでいた。

「どうしてですか?」

 いや、どうしてもなにも。

 允は相手が相手だけに乱暴に手を振り払うことも出来ずに、そのまま突っ立っていた。
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