王様とうさぎさん

 


 城ヶ崎の母の店に入ると、レジのところに雑誌が広げてあった。

 なるほど、この店が紹介されている。

 城ヶ崎の面影が窺える綺麗な女の人が写っていた。

「いらっしゃい。
 卯崎様ですね」
とその雑誌の顔そのままの、上品な奥様、といった風情の女性が出てきた。

「どうぞ、その辺りの席からは、教会がよく見えますよ」
と薦められる。

 デッキにも出られるようだったが、室内の席を選んだ。

「飲み物をひとつ、この中からお選びください。

 忍さんも」
と顔見知りらしい忍にも微笑みかける。

 サービスの飲み物と、追加でケーキを頼もうと思っていたのだが、スコーンがおいしそうだったので、スコーンに変えた。

 厨房に消えて行く後ろ姿を見送りながら、

「綺麗なお母さん」
と呟くと、

「素敵だろ?」
と忍は笑う。

 前から思っていたのだが、忍には、年上の女性が似合うような。

 いや、城ヶ崎の母では、ちょっと年齢が行き過ぎているが。
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