王様とうさぎさん
 もしかして、潮かな?

 いつかも酔って帰るのが面倒臭くなったから、泊めてくれとやってきた。

 あんなこと言っていたが、陽気な潮のことだ。

 コンパでも楽しく盛り上がったことだろう。

 スイーツか、呑み足りない酒でも持って、気分よくチャイムを連打している潮を想像して笑い、ちょうどいいや、私も話を聞いてもらおう、と思いながら、サンダルを引っかけ、魚眼レンズを覗いてみた。

 そこに居たのは、案の定、酔っぱらいだった。

 だが、潮ではない。

「……真人?」

 どうした?
と迷う間もなく、真人は酔った勢いなのか、なんなのか、チャイムを連打している。

 やばい。

 両隣も若い人だ。

 何処か飲みに行ってて留守ならいいが、土曜じゃなくて、日曜だしな、と思いながら、慌てて鍵を開けた。

「真人っ。
 ストップッ」
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