画家の瞳は何をみる?



『鑑ちゃんって、気が強いのな。顔は可愛いのに』

アハハ……と愛想笑いで済ましたが、内心その言葉は悠里の心をえぐっていく。

悠里がそんなことを考えていると知ってか知らずか、健がのんびりとした口調で言った。

「何怒ってるのかわかんねぇけど、一課の連中の言葉なんて真に受けるなよ。」

健がそう言うのにはひとつ、理由があった。

それは健と悠里の所属しているこの部署にある。

『殺人・傷害・誘拐特別補助捜査室』

名前だけ聞けばカッコいいかもしれないが、警視庁では『ゴミ箱部署』と呼ばれている。

現場では一課の手伝いや雑用をしたり、未解決で時効間近の事件をこの部署に捨てられたり……。

要するにゴミ箱なのだ。

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