今夜、上司と恋します


「……け、い」



広いベッドだってあるのに。
ちゃんと用意されてるのに。


それでも、私達はそこまで辿り着く事が出来ない。



早く繋がりたくてどうしようもない。




佐久間さんは果てた後、私の事をぎゅうっと抱き締めた。

もうとっくに涙は引いていたけど、心配そうに私の顔を覗き込むと頬を撫でる。



「……」



何か言いたそうだけど、聞くのを躊躇っているようだ。
もしかしたら広瀬と何かあったと思ってるのかもしれない。


佐久間さんは私に洋服を着させると、ベッドまで手を引いてくれてそこへ腰かけた。
私も隣に並んで座ると、佐久間さんを見上げる。



「…もう平気か?」

「はい、すみません」

「いや」



佐久間さんは少しだけ考え込むと、遠慮がちに口を開いた。



「……広瀬と何かあったのか?」


やっぱり。
そう思った。



私は首を横に振って、否定した。


広瀬と何かあったんじゃなくて、私が広瀬に何かしたんだ。

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