今夜、上司と恋します
ただ、息苦しい。
そうだ。広瀬に返事。
カタカタと手が震えていて、文字は打ち終わってるのに送信ボタンが押せない。
あれ。どうして震えてるの。私。
“永戸…、泣くな”
“言わなきゃわからない。
……どうしたら泣き止む?”
やめてよ。
やめて。嫌だ。
どうしたって私の事を優しく慰めてくれた、あの時の事を思い出す。
駆け足で私は会社を飛び出ると、震える手で必死にリダイヤルを押した。
――――――相手は広瀬。
お願い、出て。
すぐに出て。
『はいよー。帰りか?俺、今電車から降りたわー』
そんないつもの広瀬の声が聞こえて来た瞬間。
もう私は耐える事が出来なかった。
堰を切ったかの様に、それは溢れ出ては止まらない。
「……うっ、ひ、ろせ。広瀬っっ」
『は!?泣いてるのか?今どこ!?』
「かい、しゃ」
『すぐに戻る。待ってろ、そこにいろ』
ピッと通話を切られた私は、その場に崩れ落ちた。
ぽたぽたと涙が地面に落ちてはシミを作る。