今夜、上司と恋します
美沙都が来訪した事を知らせるインターホン音。
私は電気も点けずに、ボロボロの顔で出迎えた。
「わっ。び、びびった。え。ちょっと、まじでどうしたの。凄い顔。凄過ぎて引く」
「……美沙都」
しかめっ面の美沙都の顔を見ただけで、私の涙腺は緩む。
玄関なのに、私は美沙都に抱きつくとわんわんと泣いた。
「ちょ、ここで泣くな!ほら、中入るから!」
半ば美沙都に引きずられる様に私は部屋の中へと進んで行く。
美沙都の手にはお泊まりセット。
それをぼんっと私のベッドの上に投げると、しゃがみ込んだ。
「はい、座る!」
コクリと頷き、私も美沙都の隣に座った。
「えー、と。じゃあまずは顔を洗って来ようか。少し落ち着くでしょ」
またコクリと頷くと、私は座ったばかりなのに立ち上がって洗面所へと向かう。
美沙都の言った通り、私の顔は悲惨だった。
メイクを落としながら冷たい水で顔を洗うと、確かに落ち着いた気がする。
タオルで拭きながらまた美沙都の元へと戻った私に、美沙都は少しだけ微笑む。
「さっきより少しだけマシになったね」
「うん」
「よし。何があった。話してみなさい」
そう言う美沙都に私は最近あった出来事を一から話し始めた。
時系列はぐちゃぐちゃだし、しどろもどろで、更には支離滅裂だったと思うけど、美沙都は怒る事も呆れる事もせずに真剣に聞いてくれた。