今夜、上司と恋します
その道中、前からやって来たのは。
「あー。蛍ちゃん!」
野々村さんだった。
「こんにちはー。野々村さん」
「ちはちはー。どこ行くの?」
「保管庫です。一昨年の資料が必要で」
「え。結構膨大な量あるよね、あそこ」
「ありますね」
「一人で探すの大変でしょ?俺、さっき打ち合わせ終わったばかりだから手伝うよ」
「え。そんな悪いですよ」
「いーのいーの」
野々村さんは私の手から鍵を奪い取ると、先に歩き出す。
「ちょ、野々村さん!」
その後を慌てて私は付いて行った。
保管庫に到着して、中へと入った私達。
もう断るのは諦めて野々村さんの好意に甘えよう。
てか、ここまで来たら断れない。
「一昨年の何の資料?」
「えっと、A/Wの関東店舗の収支表です」
「オッケー」
棚を一つずつ確認しながら、野々村さんが話しかけて来る。