今夜、上司と恋します


「ねーねー」

「はい」

「蛍ちゃんに彼氏とかいないの?」

「え」


棚の隙間から顔を覗かせると、野々村さんはニコって笑う。



「いません」

「そうなのかー。可愛いのに勿体ないな」

「そういえば、野々村さんは彼女いるんですよね?」

「そうそう。めっちゃいい子なんだよ」

「話に聞くと、野々村さんがゾッコンだとかなんとか」

「げ。どこでそんな話聞いたの?」

「佐久間さんです」

「まじか。佐久間課長、どこで仕入れたんだ」

「佐久間さん、よく店舗行きますからね。店舗スタッフから聞いたんじゃないでしょうか」

「あー、成程」



それなら納得だとか、独り事を呟く野々村さん。



「出会いとかって聞いてもいいですか?」

「俺と彼女の?」

「そうです」

「面白いかわかんないよー」

「いいですよ」

「そっか。んじゃあ、話すよ」



少しだけ作業する手を止める私達。
野々村さんは壁に寄りかかると、遠い目をしながら話し出した。

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