今夜、上司と恋します
驚いた。
声にならなかった。
まさか、佐久間さんがそんな風に私の事を見てくれてたなんて。
資料に関しては、自分で何重にチェックしてるからだとは思うけど、そこを褒められるのはやっぱり嬉しかった。
プレッシャーもあるけど、このプレッシャーは悪い気持ちではない。
頑張ろうって思える。
これから営業先に行っても、一言一句聞き洩らさない様にして自分の力にしないと。
約束の時間丁度に着くと、私たちは受付で手続きを済ませた。
社長室に案内されるまで、私の心臓はバクバクと言っていた。
「……坂本」
エレベーターに乗ってる時に、小声で佐久間さんが私に声をかける。
目だけで返事をすると、
「今日は俺を見て覚えろ」
そう言ったからこくりと頷いた。
案内された部屋にはエスレールの代表取締役の三国さん。
どっしりとした佇まいで、いかにも厳しそうな顔をしている。
隣にいるのは三国さんの右腕である副社長の庄和さん。
かなりのやり手だって聞いている。