今夜、上司と恋します
結局、あれからまた別の店舗にも寄りたいと佐久間さんが言い出したから、会社に到着したのは就業時間後だった。
佐久間さんと別れた後、私は自分の席に一度戻ると辺りを見渡した。
広瀬いるかな。
いないなあ。
帰る筈ないと思うんだが。
「坂本」
キョロキョロしてる私に声をかけてきたのは佐久間さんだ。
手には何かの資料。
さっきのをまとめていたんだろうか。
「今日空いてるか?」
「えっ?」
「予定がないのなら、どうかと思ってな」
「……」
それって。
ホテル行こうって事?
「あ、あの。今日は」
しどろもどろになりながら、断ろうと思っていたら。
「あ。坂本!帰ってたんだな!」
明るい声を出しながら寄って来る広瀬。
佐久間さんにも笑顔で会釈している。
「お疲れ様です。佐久間さん」
「なんだ、まだ残っていたのか」
「はい、やる事あって。でも、今終わりました。
さて、坂本行こうか」
「あ、えっと、うん」
「今日坂本と飲みに行くって言ってたんで、早めに切り上げられる様に頑張りましたよ」
「そうだったのか。いつもその調子だと助かるんだけどな」
「ええ。俺、普段から頑張ってますよ」
酷いなあって零す広瀬に、佐久間さんは笑っていた。