ドナリィンの恋
Pan Pacific Manila(パン・パシフィック・マニラ)に到着すると、紳士は女性をフロントまで送るものだと、ジョンは運転手に荷物を持たせ麻貴についていった。麻貴は日本語で小さく「面倒くさい男だな。」とつぶやいたが、多少の恩義もあるし、仕方なくジョンをかたわらに置いてフロントスタッフにチェックインを依頼した。すると、スタッフからリザベーションが見当たらないとの答えが返ってきた。驚いて再度の確認を強要するも、答えは変わらない。ならば、今からでいいからひと部屋をとリクエストしたが、残念ながら満室でご要望にお応えできないと慇懃な英語で断られてしまった。見かねたジョンが、再度介入。スタッフは、ジョンの顔を見ると態度を豹変させた。必死な面持ちで、カウンター内のキーボードを叩き始める。彼は案外有名人なんだと、麻貴が感心したのも束の間、今度はわざわざ支配人が出てきて、泣きそうな顔で国際会議のせいで全室埋まっておりどうにもならない、とジョンに返事を持ってきた。ジョンがいらついた表情を見せると、支配人もフロントも頭をカウンターにぶつけるほどの勢いで詫びる。
「もうこんな時間です。他のホテルをあたるより、ミス・マキさえよければうちのゲストハウスに泊まっていただいてもかまいませんが・・・。どうでしょうか?」
交渉をあきらめたジョンが、麻貴にそう申し出た。麻貴はもちろん固辞したが、フロントスタッフが、今夜は国際会議のせいで市内のどのホテルも満室なはずだ。それに彼の家は豪邸だから、そこに泊まれるのはとても幸運なことだと盛んに勧める。
「あなたの家は、あなた以外の人もいるの?」
「ええ、家族と使用人がいます。」
麻貴はしばらく考えた。このままでは女性ひとり、危険な夜のマニラでどこへいくあてもない。
「それじゃ、みんなこっちに集まって。」麻貴が、ジョン、運転手、そして支配人を集める。
フロントマンに麻貴のスマートフォンを渡して、彼女を中心とした記念写真を撮らせた。なぜここでと唖然とする男達。一方写真を撮ったフロントスタッフは、麻貴が言った「ハイ・チーズ」という聞きなれない言葉の意味をしきりに質問する。麻貴は質問を無視して、ジョンに写真を見せて言った。
「もうこんな時間です。他のホテルをあたるより、ミス・マキさえよければうちのゲストハウスに泊まっていただいてもかまいませんが・・・。どうでしょうか?」
交渉をあきらめたジョンが、麻貴にそう申し出た。麻貴はもちろん固辞したが、フロントスタッフが、今夜は国際会議のせいで市内のどのホテルも満室なはずだ。それに彼の家は豪邸だから、そこに泊まれるのはとても幸運なことだと盛んに勧める。
「あなたの家は、あなた以外の人もいるの?」
「ええ、家族と使用人がいます。」
麻貴はしばらく考えた。このままでは女性ひとり、危険な夜のマニラでどこへいくあてもない。
「それじゃ、みんなこっちに集まって。」麻貴が、ジョン、運転手、そして支配人を集める。
フロントマンに麻貴のスマートフォンを渡して、彼女を中心とした記念写真を撮らせた。なぜここでと唖然とする男達。一方写真を撮ったフロントスタッフは、麻貴が言った「ハイ・チーズ」という聞きなれない言葉の意味をしきりに質問する。麻貴は質問を無視して、ジョンに写真を見せて言った。